第234回 『仲達献策』



呂布「もし昨日泰山の盟軍の援助に行っていなければ、俺は今こうして談笑してなどいられなかっただろうな」

   「覇主はかくのごとく、利益のためならば何でもする」

   「いわゆる治世の能臣、乱世の奸雄ならば」
   「お前の家の財産を使い尽くして国を治め」



   「邪魔となればお前の命など躊躇いなく取る」(?)



   「また『公子献頭』とはな。この呂某、全く同情に耐えん」(?)

   「司馬の。お前はこの機に逃げ、身内に庇護を求めることも十分できるだろう」(?)

(司馬懿なの?呂布なの?とりあえず意味だけ↓)
「世事とは存外公平でないもの。曹操という男は張繍でさえも降伏を許した」
「これで領土境の憂いはなくなり、主力を養うことに専念できる。恐らく十分に準備を調えて、ここに来るだろう」

「残念だ。随分長い年月戦って、ついに天誅を受くる時が来たか」



呂布「もうすぐ雨季だ。徐州を攻めるには不利、撤退は時間の問題だろう」

張遼「曹操は現にこうしてお前に仇なそうとしている。司馬公子はそれでも奴に加担するのか?」

司馬懿「単刀直入に言いましょう。あなた方は、自分達が歩んできた道、自分達目指す先を、お忘れになってはいないですか? 虎を養って患と為す気か。董卓の死は、あなた方が一番よく知っているはずだ」(?)



呂布「全く同感だ。お前のことは、ますます他人事とは思えないな」(?)

司馬懿「曹操側の計画が失敗した以上、呂大人につきさえすれば私も恨みを晴らすことができます」

    「司馬家は各州に余財があります。呂大人さえよければ、すぐにでもすべて献上し、全力で支援いたしましょう」
    「それに、私はかつて曹軍の徐州入攻においてその手筈を整えました。曹軍の内部情報には少しばかり通じております」

張遼「曹操は我が方の高順を警戒している。しかし我らは我らで郭嘉に用心しなければならない」

   「さっさと言え。奴は今何を企んでいる?」



司馬懿「そうですね。曹操は徐州に入ってから、毎度の戦で苦渋を舐めています。それはひとえに大人の騎兵が並々ならぬため」

    「雨季が来れば、騎兵を避けることができる。ゆえに彼は南から撤退するつもりです」

呂布「だから、奴はお前を使って我らの軍を誘き出し、奇襲をかける」

   「そのあとは罠に落として勝利を得る…だろう?」



呂布「郭嘉は確かに恐るべき相手だ。奴が配した罠は防ぐのが難しい。しかし今一歩決め手に欠けている」

   「だからお前をよこし、我らを奴の仕掛けた正確な地点に誘い込ませ、確実に仕留める」

   「違うか?」



高順;「その通り。私は既にこの小僧の携えてきた罠の配置図を見て、人に道を探させましたところ、果たして非常に複雑なつくりとなっておりました。ゆえにようやく兵を整え、伏兵に備えに戻ったのです」(?)

呂布「何だと、お前まさかすでにもう高順に地図を渡していたのか?」

司馬懿「そうです。郭嘉の布いた罠は緻密で、抜かりがありません」



「大人の主力が損害を受けるのを避けるため、予め人をやり、先に高大人へ地図を渡させました」

張遼「主公、曹操方の落とし穴は極めて危険です。私も身をもって知っておりますが、陥陣営に再び進軍させるべきではないかと」

呂布「司馬の、この呂が一番気がかりなのは・・・・・・」

司馬懿「いいえ、いいえ。私は心から仇を討つことを望んでいるのです。だから急いでいるのです」(?)

呂布「ならば、お前の案は?」

司馬懿「戻ります」



司馬懿「私は今すぐ兗州に戻り、一族盟友をまとめて、曹操の撤退後、撹乱します」

呂布「ならば、お前は俺に南方を捨て、全力で蕭関を攻めろというのか?」

司馬懿「そうです。蕭関を破り、曹操が防ぐものをなくして後方が乱れれば、大人は機に乗じて勢力を拡張することができます」

    「大人、機はただこの一度きりです」



呂布「いいだろう、ではお前は先に戻れ。あとでまた連絡を取る」

   「張遼、あとで南方の袁術に連絡をとり、彼らに曹操を挟撃させろ」

張遼「承知」

   「ははは、どう転んでも我らに損失はない、どちらにしても差し支えありませんな」

呂布「しかし、まだ後々のことも考えておいた方がいいだろう。念のため司馬懿が生きていたことは・・・・・・」



   「小孟には知らせるな」

僕人「予想通りですな。呂布のやつ、公子が金の話を口にしてから、途端に貴方を殺そうとしなくなりましたよ」

司馬懿「はは、覇主っていうのはそんなもんさ」

僕人「ですが、いいんですか? 高順を誘き出すのが公子の目的だったのでは」

町人「うわぁ雨だ! 雨が降ってきたぞ!」



司馬懿「はは、郭嘉が考えていることくらい、分かるさ」

僕人「ということは・・・彼は双計斉発を?」(※『双計斉発』→11巻③参照)
司馬懿「ふ、腹黒いよな」

    「行くぞ、陳登に会いに行かねば」



「火箭じゃない!」

  「敵軍は実箭を使ってきているぞ!」
  「みな気をつけろ!」



?「みな気をつけろ!」

于禁「賈詡、ここはもうおしまいだ、守り切れねぇぞ!」

賈詡「安心しろ」



「于禁、俺たちの計画が完成したぞ」

「軍師、雨です!」
  「雨季の到来です!」



「軍師、主公はどんな指示を?」

「南方には罠がある」

陳宮「高順は下邳に戻り、主公と合流して、こちらに向かって出発した・・・・・・」

   「まずい、お前、急いで戻り主公にくれぐれも来てはならぬと伝えろ!」



   「いや! 即刻すべてを撤収し、今すぐここから引き上げるぞ!」

「し・・・しかし、我らは今優勢ですぞ!」

陳宮「お前たちは夜まで攻めていろ! 深夜になったら闇に乗じて撤退するのだぞ!」
「は!」

陳宮「騎兵、私とともに来い! 急げ!」



   (くそ、主公は一体何故こんな決定を?)



「ふ、今年の雨量は特に多いな」

「堤防が崩れたぞ、気をつけろ! 第三十地点、入りました!」

  「上方第十五地点、入りました!」



「軍師、時機丁度です!」

郭嘉「一旦雨季が来れば、確かに征伐には不利となる」

「軍師、下方の第十三地点にも入りました!」



郭嘉「これもすべて高順が撤兵してくれたおかげだ。奴がいたままでは、ここまで掘り進めることはできなかった」

   「高順が南方に撤退して」

   「泗水を遮るものはなく」

   「水は絶え間なく流れ、真直ぐ下邳を目指す」



   「司馬懿、よくやった」

   「呂布に引導を渡してやろう」






思い余って最新話。
しかし(?)が多い。いや、ちょっと微妙に分からなくて・・・
いやはや実は色々言いたいことありますが、とりあえず今回の私的ベスト台詞

→司馬懿「ふ、腹黒いよな」

ウン、腹黒いね。
・・・あれ、ところでもう一個の川は? これから?
07.11.02