第249回 『露出馬脚』 水が引くにしたがって 戦馬も徐々に前進する。 「西側」 「五十組。一組につき二百」 「南側、四十五組。一組三百」 「後方、各数千の弓兵」 臧覇「曹操め・・・ついに来おったか!」 兵「報告! 合計数を算出しましたところ、我が方の兵は五千の不足!」 「昨日よりも三百増えています!」 臧覇「命令だ、両門の守りの兵を互いに配置させろ! 死角を作るな!」(?) 「もうひとつ、徭役者はその位の高低、年齢の老若にかかわらず、全員残らずかき集めろ!」 「それから」 「もし状況がさらに厳しくなり、男手が足りぬようになったら、女どももすべて徴集し、物資の調達にあたらせろ!」 兵「報告!」 「朗報です! 魏続大人の兵三千が、東門外五里のところに集まっております!」 将「なんと・・・援軍か?」 兵「はい、かの名高き鎮東の傭兵です!」 臧覇「鎮東軍か、そ・・・それは助かった!」 兵「だが魏続には疑わしい面もあるぞ! 我らが前に招致した時はどんなに待っても来なかったくせに、今ごろになってやって来たなんて、妙じゃないか!」(?) 兵「現金な奴だ、どうせ袁紹が巣に帰りそうなのを見て、慌てて報奨金目当てにやってきたに違いない!」 臧覇「いますぐ魏続へ伝令を飛ばせ! 傭兵を即刻城内に入れて防御に協力せよ! 持ちこたえることさえできれば、恩賞を弾んでやるとな!」 将「お待ちください! 傭兵というのをいきなり鵜呑みにするのは危険です、もしやとっくに曹操に買収されているやもしれませぬぞ!」 「一度城に入れて、内応されでもすれば、どうなります!」 将「バカな! 魏続は主公の腹心だぞ! 彼ら傭兵は再度の招きに応じて戻って来たのだ、信じぬ道理がどこにある!」 「それに我らは今危機に直面しているのだ、選択の余地などあるか!?」 ?「そうだ、こんなところで討論していて何になる。傭兵はいまも外にいて危険にさらされているんだぞ」 「もし曹兵に包囲攻撃されてみろ、一巻の終わりだ!」 「魏続の忠誠を誰が疑う?」 秦宜禄「まだ言い争いを続ける気なら、私は貴様らの家族をかき集めて城の守りに出るぞ!」 臧覇「老秦! 口を慎め!」 「伝令、傭兵を入城させよ!」 「水位が浅くなれば、傭兵は城に入る」 「呂布は果たして彼らを使いますかな?」 「我々はただ攻めるだけだ。そうすれば、呂布も否応なく使わざるを得なくなる」 「于禁に通達を」 司馬懿「ひとまず傭兵を追撃するフリをしろ。城から矢が放たれそうになったら、すぐに退け」 「それから曹洪と結託して、こもごも二門に陽動をかけろ。城内の兵どもを翻弄して疲労を誘うんだ」 「それと、水が半尺まで退いたら兵を百歩進めろ」 「は!」 「布陣!」 「初の用兵にして早くも成果を上げたか」(?) 「上出来じゃないか、老弟」 司馬懿「これはすべて老兄から学んだことですよ」 「俺が明るいのは用兵だけさ。司馬老弟が学んだのはもっと別の手法だろう」 司馬懿「というと?」 郭嘉「俺たちが呂布をやりこめるのに腐心していた時、お前はすでに侯成の下で地道に布石を打っていた」 「老弟が学んだのは、事を成すのに最も早い裏道を行く術だな」 「侯成は為損じたが、まさかお前の次なる一手が魏続だったとは思いもよらなかったよ」 「呂布の妹婿さえも利用してみせたわけだから、お前の手腕は本物だ」 「ついでに言わせてもらえば、たとえこれでもし魏続が上手く行かなくとも・・・」 「老弟には、まだもう一つ手札があるんだろう?」 「ただお前は相変わらず最後まで尻尾を出そうとはしないんだよな」 司馬懿「小道が、どうやって 「手前はただ身の程知らずなだけですよ」 郭嘉「老弟はいささか謙遜しすぎるきらいがあるようだ」 「早道を行く才について言えば、敵わないのはむしろ俺の方だ」 「戦場と、商場とでは、一貫して道の歩み方が違う」 「戦の場では忠義の肝胆が左右するが、商いの場ではいかに利を見て義を忘れるかが問われる」 「まぁ、光あれば闇があるという点は、どちらにも言えることだがな」 「ただし、抜け道を行く者には特に危険がつきまとうものだ」 司馬懿「郭大人、言いたいことがあるなら、遠回しにせずはっきり言ってください」 郭嘉「いいだろう、なら率直に言おう」 「我ら水鏡門下の三人はすでに主公に投じ」 「あの方のために身命を賭す覚悟もとうにできている」 「俺たちはそれぞれが己の意見に固執しているが、目的は一致している。すなわち主公の御為に天下を平定することだ」 「たとえそれぞれが上の命令を聞かずに好き勝手にふるまっていても、互いに団結しあっているから、後顧の憂いは全くない」 「異なる才能をもって、それぞれに足りない部分を補っているんだ」 「欠陥があれば、それに応じて老弟のような人材を育成する」 「ところがお前の行動は、正直どうにも本心が量りにくいんだよ」 「まるで昨日敵だった相手が今日になって友になったかのようだ」 「老弟の見解も同じだろう?」 「郭大人、ご指示通り司馬家の諸人はすでに許都へ送り厳重に保護いたしております」 郭嘉「老弟はあの年許家との間に結んだ因縁を覚えているか? いまだ解けることのない仇怨を」 「随分前のことだが、かつて我が軍と泰山四匪との一戦で、主公は許チョに司馬家仇討ちを認可された」 「主公の一言がある以上、司馬家はその首が落ちるのを免れえまい」 「急な話だが、これもお前の家人たちを許チョの手から守るためだ。悪く思うなよ」 「老弟の安否のために、俺も散々考え抜いた結果だ」 「この二人がこれから片時も離れずに老弟の護衛をしてくれる」 「お前たちにも頼んだぞ」 「御意」 郭嘉「そして最後にひとつ」 「どの路を歩もうとも、それが正道であるかぎり、 「いつの日か事が成れば、干戈も必ず玉帛に化すだろう(※戦争をやめて親善関係を結ぶの意)」 司馬懿(なるほど、端からこういうつもりでいたってわけだ) (いまや家人たちを人質に取られ、側には常に二匹あまりの番犬) (警告であると同時にこれは扶助でもある。この一手、太刀打ちするのは厳しそうだな) (この障害物は、抜け道さえも塞ぎ得るほどに大きい) 「兄弟の恩には、報いる術もありませんよ」 「司馬懿からも老兄に一言」 「身命に誓って忠節を尽くしましょう」 |
久々の登場☆の四奇さんと司馬チュの腹黒腹芸トークです。 ついでに久々に訳やったものだから、微妙にもたつく・・・意味プーな上に上手い言い回しが思いつかない。 それにしてもふたりしてあったかそうなモコモコフードコート着ちゃってまぁ。 ところで四奇さん、出てきたってことは体はとりあえずいいのかな? 何だかところどころの四奇さんのコマ、どっかで似たカットを見た気がする・・・ま、まさかの使い回・・・咳咳。きっと某先生の描き癖でそう見えるだけですね。 この二人の会話ってどうにも嫌味皮肉の応酬に見えてなりません。つか今回の司馬懿驚きすぎ。ポカーンな顔多くないですか? しかも司馬懿、ちょっと男前度上がった? 前よりも大人の男らしい顔つきになっている気がする。 そして今回の私的ベスト台詞 郭嘉「ぶっちゃけお前協調性に欠けるんだよ」 (そんなこと言ってない) 08.04.07 |