折角『木簡学入門』(大庭修)を読んだので自分のためにメモ。
内容はほぼ大庭先生のご研究です。決して私自身の成果ではありませんのであしからず。

内容に入る前にですが、『七つ道具』の方に図解を載せてありますので、そちらを見ながら読むとなお分かりやすいかと思います。
更に、書物名(この色)に「ヘルプ」をつけましたので、カーソルを合わせていただくと説明が出ます。

あと『説文』の原文は、『漢典』(サイトのリンクコーナーで飛べます)からコピーペーストしてきてます。
最後に、目次の項目を押せば各項目へジャンプもできます。


■目次■


1.導入
2.種類
  ① ② ③両行 ④
  ⑤ ⑥ ⑦冊書 ⑧
  ⑨ ⑩ ⑪ ⑫
  ⑬
3.その他
  ①簡の長さの意味
  ②封泥
  ③木簡や紐の素材
4.終わりに



■1.導入:簡と冊書



よく想像される古代中国の文書といえば、あの板をつなぎ合わせて簾みたいにした巻物です。
あれは一般的に「木簡」あるいは「竹簡」と呼ばれてますが、あれを「」と呼ぶのは厳密には間違っています。
正しくは「冊書」。「」とは、冊書として束ねられている板の一本一本のことを言います。
「竹簡を一巻持ち……」などといった表現は実は微妙に誤りということになるのですね。
つまり量詞でわければ、

 簡  → 一"本"あるいは一"簡"
 冊書 → 一"巻"あるいは一"冊"

となります。


さて、そんな「簡」ですが、ご存知の通り大まかに「木簡」と「竹簡」があります。書いて字のごとく木製か竹製の違いです。
北方では簡には木がよく使われましたが、南方では竹が多く自生しているため竹を使ったそうです。
竹の方が丈夫で、水に強く腐りにくいという利点を考えれば、そうなるのも当然でしょう。

しかし一口に「木簡・竹簡」と言っても、実はここにも微妙な問題が出てきます。
「簡」の漢字をよく見ると分かりますが、竹冠です。
これはもともと竹製のもの――――つまり竹簡を指した言い方なのです。

では木製の簡は正式には何と呼ぶのでしょう。
※「木簡」は決して間違い表現ではありません。

ここで「」あるいは「」というのが出てきます。
詳しい説明はまたあとにまわしますが、「」あるいは「」が竹製の「簡」に対応する、木製の道具です。ちなみに「片」偏は「木」に属します

つまり、厳密に正しく言おうとするなら、「竹簡」と「木牘(札)」。略して「簡牘」と言ったりもします。
それぞれが素材を表しているのですね。
以下にそれぞれまとめますと、


 ・:竹でつくられた細い板
 ・:木でつくられて細い板
 ・冊書:簡や牘を編(ひも)で結わえ合わせたもの。


ということになります。





■種類




古代中国の書きつけ用紙(紙じゃないけど)には種類がいくつかあり、それぞれ名称がついてます。
以下に簡潔にまとめると、

 ①:竹製で長さ1尺、幅5分の板
 ②:木製で長さ1尺、幅5分の板
 ③:木製で長さ1尺、幅の広い方形の板
 ④:長さ2尺、幅5分の板
 ⑤:長さ3尺、幅5分の板
 ⑥冊書:簡牘を編んだもの
 ⑦:冊書のひも
 ⑧(=笘=籥):角材状
 ⑨:宛名書き
 ⑩:タグ、標識
 ⑪:竹製の割符
 ⑫:木製の割符
 ⑬:牘の削りカス
 ⑭:書のこと。簡牘に著したもの。
 ⑮:斉簡。揃った簡。
 ⑯:法の意味。竹簡の書。古の法は竹に書かれていたため竹刑と言った。
 ⑰:簿のこと。
 ⑱:長さ6寸。数を数える算木。
 ⑲:忽(ゆるがせにして失忘する)の意味。いわゆるメモ、カンペ。

この中で、①~⑬までを少しずつ説明していきたいと思います。




 ① 簡
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漢代の通常サイズ
〔長〕一尺  〔幅〕五分
〔長〕約23cm 〔幅〕約0.2~0.3cm


 【卷五】【竹部】簡

 牒也。从竹閒聲。古限切

《説文》「牒なり。竹に従う、間の声」
部首は竹、読みは(かん)」なので、竹に属することは明白。
ちなみに竹の節と節の間を使って作ったから「簡」なのかな?

問題は「簡は牒である」というところ。
とは何ぞやと、説文でしらべてみると、


 【卷七】【片部】牒

 札也。从片枼聲。徒叶切

《説文》「札なり。片に従う、枼の声」


片に従う片偏)」という部分に注目してみましょう。
またここでについて説文に訊いてみますと、


 【卷七】【片部】片

 判木也。从半木。凡片之屬皆从片。匹見切

《説文》「判木なり。半木に従う。凡そ片の属は皆片に従う。」


すなわち「片は判木」のことらしいです。「判木」。何となく想像つきますが念のためを見ます。
『説文』には原本とは別に、内容解釈のための注が後世の学者たちにつけられています。その中で最も良いとされる段玉裁(清)の注には、「判=分」とあるようです。
判木」とは「半木」、すなわち「半分に分かたれた木片」なのですね。

あと「半木に従う」で、部首が「半木」。ということは半木偏=片
「木」の元の字形は「」で、その右“片”方をとった形で「」となったのではないか、と大庭先生はおっしゃってます。
ということは左片分なら「」ですかね。爿+片=


まぁ、ようは牒は加工した木を指してるんだって話です。
そこでもって「牒とは札である」といってます。なるほど、。これなら同じ木製だし意味は分かります。
けど念を入れても引いてみれば、


 【卷六】【木部】札

 牒也。从木乙聲。側八切

《説文》「牒なり。木に従う、乙の声」


ふむふむ「札は牒」……というような事態になるわけですね。。牒の意味が知りたいのに、札と一緒とか言われてもなですが、説文にはこういったエンドレスループが結構あるらしいです。
そこで大庭先生説を取り上げますと、「簡=牒」「札=牒」ですから、「簡と札は同じもの」と仮定しています。
しかしだからといって簡は竹冠なので、木のふだではなく竹のふだであると考えるべきだとします。
むしろ簡も牒、札も牒、いずれも牒ですが「は竹のは木の」となり、すなわち「竹簡木札」という言葉ができるのだ!という結論に達されてます。

まぁ簡・牒・札が混同している理由の一つには、説文が出来た後漢時代では、あまり木だとか竹だとか深く考えず、要は分かれば良いんだ的にゴッチャにしていただけなんじゃないですかね。




 ② (とく)
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漢代の通常サイズ
〔長〕一尺  〔幅〕五分より広い
〔長〕約23cm 〔幅〕約0.3cmより広い
長さは簡と同じだが、幅が広いものを指す。


原義は「札」と同じく木製のものを言ったようですが、後世一般的には木竹を問わず、一尺五分の簡よりも幅広のものを指すようです。
説文には


 【卷七】【片部】牘

 書版也。从片賣聲。徒谷切


《説文》「書版なり。片に従う、売の声」


牘は書版である」とのことです。ところで「書版」って何でしょう。
ここで例の如く『説文』に突っ込んでみるわけです。


 【卷七】【片部】版

 判也。从片反聲。布綰切 (※按,判木也。)


《説文》「判なり。片に従う、反の声(按ずるに、判木なり。)」


誰の注なのか知りませんが、「たぶん判木のこと」だそうです。ということは「」も「二つに分けた加工した木」ということですね。
ということは「書版」で、「文字を書くために加工した木片」と説明できるようです。


」自体は当初は「木製の牒」のことだったのでしょう。
それがいつのまにか「幅の広い牒」を指す言葉に変化しました。
その理由に大庭先生は、書く幅のスペースを広げようとしたとき、筒状の竹ではどうしても限界がある(表面が曲がっているので)。その点、木であればどれだけでも水平に幅を広げることができる。


それが転じて、木製の簡木製の幅広の簡幅広の簡となったのだろう、とか。
ちなみに、竹で五分より広い簡なら「竹牘」となるわけです。



ついでに余談(?)ですが、竹簡に関して「殺青」という言葉があります。
殺青」とは「直ちに青竹を治し、簡を作り、これに書するのみ」(前漢末・劉向――――つまり青竹のうちに(枯らせないうちに)簡にして文字を書きつけるということらしいです。




 ③ 両行(りょうこう)
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漢代の通常サイズ
〔長〕一尺  〔幅〕一寸前後
〔長〕約23cm 〔幅〕約1.8~2.8cm


長さはそのままで、幅を二倍にした簡。
幅広の簡なので、この「両行」を「牘」とみなすことも出来ます。

スタンダードな一尺五分の簡というのはとても実際かなり細いです。
通常の文庫本を開いて見てください。あの1行分程度の幅です。
当然1本につき1行でしか文字は書けませんし、書きません。

これが2倍の幅になることで、1本に書かれる文章も2行になります。だから「両行」と言うわけですね。


スタンダード簡だとせいぜい書けて40字と考えれば、「あと10字や20字なんだよな~なら手っ取り早く幅を広げたれ」という、極めてシンプルな発想だったのじゃないかと思います。




 ④ 方(板)
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漢代の通常サイズ
〔長〕一尺   〔幅〕neary一尺
〔長〕約23cm  〔幅〕neary0.2~0.3cm


「更に広げちまえ~☆」とばかりに、簡の長さはそのままで幅だけ広げ、横幅が縦の長さに近づいた形――――つまり方形ですね。「」とも言います。これはかなり分かりやすいですね。
中国大陸では例は多くはなく、どちらかといえば日本の出土木簡によく見られるのだとか。




 ⑤ (げき)
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漢代の通常サイズ
〔長〕二尺   〔幅〕五分
〔長〕約46cm  〔幅〕約0.2~0.3cm


「幅広げなくても、長さを伸ばせばいいんじゃね~?」とばかりに、幅はそのままで、縦の長さをスタンダードサイズから2倍に伸ばした簡です。


 【卷六】【木部】檄

 二尺書。从木敫聲。胡狄切


《説文》二尺の書。木に従う、敫の声」


二尺の書」とはっきり書いてありますね。
どうやらというは召し文として使われ、鳥の羽をつけて速疾を示したのだと顔師古(唐)が説明しています。


あるいは軍書だとする見方もあるようです。
よく「檄を飛ばす」とか言いません? あの檄でしょうか。三国志などでも、たとえば陳琳が書いた檄文なんて有名ですけど、あの「檄」ももしかしたら関係あるのかもしれません(あれは帛に書かれてようにも思うんですけど)



 ⑥ (ざん)
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漢代の通常サイズ
〔長〕三尺   〔幅〕五分
〔長〕約69cm  〔幅〕約0.2~0.3cm


「どうせなら長さを伸ばしてみようぜ!」とばかりに、幅はそのまま縦の長さをさらにスタンダードサイズの3倍に伸ばした簡です。


《釈名》「版の長さ三尺のもの」


とあり、説文と同じ後漢代の別の字書には「三尺の書」という説明があります。
ただし説文では、

 【卷六】【木部】槧

 牘樸也。从木斬聲。自?切


《説文》「牘の樸なり。木に従う、斬の声」


と、「牘の樸だよ」と書かれてます。
というのは


 【卷六】【木部】樸

 木素也。从木菐聲。匹角切


《説文》「木の素なり。木に従う、菐の声」


つまりは「」という意味で、「牘の素なるもの」という意味になります。
では「素なるもの」というのは具体的にどんな状態かといえば、


 【卷十三】【素部】素

 白緻繪也。从糸?,取其澤也。凡素之屬皆从素。桑故切


《説文》「白き緻繪なり。糸に従う…,その澤を取るなり。凡そ素の属、皆素に従う」


白い機織生地」だそうです。大庭先生の言葉を借りるなら「本義は色あげしていないもとの糸」。
総合すると、「牘の素なるもの」とは「牘の原型、未だ書かれていないもの」と説明できます。


ではこれと「三尺の書」がどうつながるかと言えば、まあ色々な書物を見た結果、牘の原型というのが三尺の木片=で、逆にいえばを三等分して牘をつくるということだと。
牘の早い時期の状態をと呼び、また特別な用途の時には三尺のままとして用いたのではないか、というのが大庭先生説です。




 ⑦ 冊書
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※ここからは竹木問わず、スタンダードな一尺×五分のフダを簡と統一して呼びます。
簡の内容が2本(2簡)以上にわたる場合、それらをひもで縛って、ひとまとめにしたものを「冊書」といいます。


これは象形文字で、簡(代用としてを使います)2本(几几)にひも()を通した形()がすなわち「」となるわけですね。


ちなみに古文の中に、「」みたいなのがあります(実際はもう一本横棒が多いです)。これも竹を囲い、2簡を2ヶ所で編んでいる象形文字です。


更にこの冊を台に乗せると「」、戸に引っ掛けると「」となります。
扁額というのはここから来ている言葉なのですね。


そして扁に糸をつけると「」。
これは「冊に関係のある糸」と考えられます。
冊を縛るには、ふつうは麻糸を使い、上等のものなら「」、あとなめし革なんて場合もあります。


そして冊には、簡の下の方に数字がふられていることがあるそうです。
これは万が一紐が解けて簡がバラバラになった時のためのページ番号なんですね。
ちなみに、


編が切れて冊書の一部がなくなると「脱簡」=落丁
編が切れなくても簡を閉じ違えると「錯簡」=乱丁
簡が欠損しながらも、一部が残ると「断簡


あ、説明は割愛しますが、一応『説文』も挙げておきます。


《説文》「册,符命也。諸侯進受于王者。象其札,一長一短,中有二編之形。古文又从竹。」




 ⑧ ()
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板状ではなく、四面や三面などの多面体に削った、角材型のものです。
それぞれの面に文字を書き連ねるわけですね。
に竹冠をつけた漢字もあり、なども同じ意味があります。


『説文』の内容はほぼ関係ないものなので、省略します。




 ⑨ 検
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 【卷六】【木部】檢

 書署也。从木僉聲。居奄切


《説文》「書署なり。木に従う、僉の声」


また


《釈名》「検とは禁の意、諸物を閉じて中身を見させぬためのもの」


説文の言う「書署」とは宛名書きのことで、釈名の言う内容はつまりカバー
現在の手紙を想像していただければ分かると思いますが、要は宛名を書いた封筒ですね。
封筒みたいに袋状ではないですけど、たとえば公私の手紙として一枚の簡を送る際、そのままじゃ内容モロ出しですね。
別に見られていいような内容だったらともかく、プライベートなこととか機密事項は他人に見られたらマズイわけです。
そこで別の簡を一枚、上に重ねます。ここまでは釈名の指すカバー的用法。
次にそのカバーの上に宛先を書きます。ここが説文の言う書署の用法。

つまりそういうことです。




 ⑩ (けつ)
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検に対して、楬もやはり木簡ですが、こちらはいわゆる会符のようなものの役割を果たします。
物につけて標識とするのです。まぁいわゆるラベル名札ですね。

形状は、多くは頭に丸みをつけ、その部分を墨でベタ塗りしたり網線を引いたりしています。
また左右一箇所に切り込みを入れたものもあり、それに紐などを引っ掛けて物に結びつけたりしたようです。

書かれている内容は「物品名」「文書名」「帳簿名」「武器数」など、ということなので、簡や冊書に限らず、袋や箱などに、識別のためにつけておくラベルだったのでしょう。
そのためか、木簡と言っても大きさはまちまちで、特に決まってはないようです。


一応説文の内容も載せておきますが、あんまり関係あるようなないような・・・・


 【卷六】【木部】楬

 楬桀也。从木曷聲。《春秋傳》曰:“楬而書之。”其謁切




 ⑪ 符
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漢代の通常サイズ
〔長〕六寸
〔長〕約15cm


 【卷五】【竹部】符

 信也。漢制以竹,長六寸,分而相合。从竹付聲。防無切


《説文》「信なり。漢制は竹の長さ六寸を以てし、分かちて相合す。竹に従う、付の声」


漢の制度では、竹、長さ六寸を用いて、二つに分け、照合する」ということです。
つまり割符勘合貿易って覚えてますか? あれとかと一緒です。
この方法はかなり古くからあり、照合には竹の節の部分を用いたのではないかといわれます。竹の節はそれぞれ間隔が異なるからです。


あとの例には、「銅虎符」と「竹使符」というものがあるそうです。
これは中央政府⇔地方長官がそれぞれ各5枚ずつ所持しているもので、


銅虎符」→銅製の虎の形をした半符。軍事に関する連絡。
竹使符」→竹の形を象った半符?。↑以外の重要項目の連絡。


と使い分けていたのではないかという話です。




 ⑫ 券
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ほぼ符と同じです。
符が竹製なのに対して、木製のものを指します。
よく半券なんて言ったりしますよね。一度会場を出ても、半券を見せたら再入場できるってやつ。
割符(竹)=半券(木)という感じでしょうか。


 【卷四】【刀部】券

 契也。从刀?聲。券別之書,以刀判契其旁,故曰契券。去願切


《説文》「契なり。刀に従う、?の声。券別の書、刀を以ってその旁を判契す。故に契券と曰く」


つまり契約の証に、「半分にした木片の端に、刀で刻みを入れる」のよってことだと思います。
竹のように節があるわけじゃないので、そのままだと偽造されやすいから、半分にした部分に切込みを入れるんです。
それで照合するということなんでしょう。




 ⑬ (はい)
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「かき」じゃありません「はい」です。訓読みだと「こけら落とし」の「こけら」です。


 【卷六】【木部】杮

 削木札樸也。从木巿聲。陳楚謂?爲杮。芳吠切【注】同?。


《説文》「木札を削った朴なり。木に従う、巿の声。陳楚、?を杮と為ると謂う」


ここでは大庭先生の読みで書いてますが、個人的には「削りし木札の朴なり」と読みたいような。意味は変わらないのでどっちでもいっか。
まぁつまり「木簡の表面を削り取った削りカス」ということを言いたいんです。
当時は木と墨ですからね。現代のように紙と消しゴム世代ではないですから、間違ってもゴシゴシ消せません。
そこで、間違った部分をどう修正するかというと、小刀で削り取るんです。こうして木簡を再生していくわけです。昔の知恵ですね。
ちなみに日本では使用済みの木簡はトイレットペーパーにしてました。エコですね。

まぁそれは置いておき、このために古代の文官は常にと削る用のを携帯していました。
そこから文官のことを『刀筆の吏』と呼ぶようになったんですね。






■3.その他


①簡の長さの意味
②封泥
③木簡や紐の素材




 ① 簡の長さの意味
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すでにこれまでの経緯で、簡の長さに色々あるということはあらかた知っていただけたと思います。
ところで、簡の長さには、実は意味があります。
簡単に例を挙げますと、


律令 2尺4寸~3尺 「三尺の法
春秋 2尺4寸
孝経 1尺2寸
・皇帝 1尺1寸 「尺一詔(しゃくいちのしょう)
論語 8寸


という具合に、重要なものほど長い傾向にあります。
つまり色々長い男も重要だからこそ長い傾向にあるのです。




 ② 封泥
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検で簡を覆い、紐で結びつけたときに、検の上に回った紐の上に押す判子を「封泥」といいます。
西洋風にいうなれば、封筒の封をしたところに溶かした蝋で押すスタンプと同じですね。
まぁ封泥の場合は溶かした蝋じゃなくて泥ですけど。
それぞれが個人で持ってる印鑑を押し付けて(これで署名や証にもなる)、泥が乾けば封印のできあがり。
開けたら泥が壊れるので確実にバレます。




 ③ 木簡や紐の素材
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まぁ場所によってそれぞれ適当な素材が違うのでしょうけど、秦代の規定では

木材:つるばみ(どんぐりの木)、柳
紐:菅や蒲、藺

となっているようです。




■4.終わりに



何かまぁこんな感じでズラズラと書いてみましたが、実は管理人もちゃんとはよく分かってません(駄目じゃん)
そんなんでエラそうに人様に説明したんかと責められそうです。全く返す言葉もございません。
でもネタになるなら!と開き直りました。エヘ。
自分の頭の中整理する目的もあったのですが、中国史作家の皆さんがこれらを上手い具合に活用して下さったらいいな~ と思います。


また何か追加があったら書き加えると思います。




(2007年5月25日)



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